ミュージアムを描くためのパレット
<ゲスト>
光岡寿郎(東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻博士課程/日本学術振興会特別研究員)
■ミュージアムを語る言葉はどこにあるのでしょうか? 1990年代以降『Pen』や『Esquire』といった商業誌でもミュージアムの特集は一般化してきましたが、そこで語られる言葉は浅く満足のいかないこともしばしば。美術批評の文脈でも、展覧会の批評はあってもミュージアムの批評には滅多にお目にかかれません。そして、21世紀に入ると国立博物館群の独立行政法人化、公立文化施設への指定管理者制度の導入とミュージアムを取り巻く環境は激変しましたが、そこで交わされたミュージアムを取り巻く法律の議論や、経営論がミュージアムの未来を保証すると感じたでしょうか?
■恐らく、ミュージアムについて考えるための言葉も枠組みも実は未だ徹底的に不足しているのが現状ではないでしょうか? そこで今回のトークでは、このような現状を踏まえ、ミュージアムについて考えるための一枚の地図を描きたいと思っています。ただし、このトークの目的は、正しいミュージアムの見方を示すことでもなく、ミュージアムの理想像を提示することでもありません。むしろ、ミュージアムについて考えるための道具を整理し、その地図を描くことにあります。既存の博物館学や美術批評に加え、日本では紹介されることの少ない文化研究やメディア研究の成果も幅広く紹介しようと考えています。
■これからミュージアムについて考えてみたい学部や修士課程の学生、キャリアの間もない学芸員、現状に違和感を抱いているミュージアムの愛好家など幅広い方々と率直に議論を交わす場になればと考えています。
日時:2009年4月28日(火)20:00〜22:00
会場:Otto Mainzheim Gallery(アクセス)
定員:30人(予約制) 参加費:1,000円(1ドリンク付)
【 プロフィール 】
光岡寿郎|Toshiro Mitsuoka
1978年生まれ。メディア研究/博物館研究。東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻博士課程/日本学術振興会特別研究員。2004年度国立西洋美術館教育普及課インターン。2005年『Variations on a Silence - リサイクル工場の現代芸術』展エデュケーター。美術批評、教育学といった領域で論じられることの多かったミュージアムを、コミュニケーションメディアの視点から論じている。『Artscape』において2007-2009に連載していた「ミュージアムノート」を参照ください。