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モンテ・ヴェリタからドクメンタヘ
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スピーカー:杉田敦(美術批評)
キャロライン=クリストフ・バカルギエフがディレクションしたd0CUMENTA13(2012)は、今日の芸術表現の注目すべき成果のひとつといえる。そのドクメンタに見られる多様性、関係性、政治性は、特異的に発生したものではなく、精神史的な文脈をもつものでもある。ここでは、20世紀初頭、南スイスに誕生した奇跡的なコミューン、モンテ・ヴェリタを手がかりに、その姿形を描くことを試みてみる。モンテ・ヴェリタの背景にあった、ロシア、フランスの左翼思想・理想主義、ドイツに生まれたエコロジー思想、裸体主義の原点でもあるインド思想、神智・人智主義、エラノス会議を概観することはもちろん、同じドイツ語圏のユーゲントシュティールのみならず、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ、日本の民芸を縦横に行き来しながら、モンテ・ヴェリタを広く紹介したハラルド・ゼーマンが構想した総合芸術の姿、あるいはゼーマンに心酔するハンス・ウルリッヒ・オブリストのプロジェクトを支える思想までを視野に入れつつ、けれどもそれに留まらず、エドゥワール・グリッサンの多元主義、アルフォンソ・リンギス、モーリス・ブランショの共同体理解、マルグリッド・デュラス、アライダ・アスマンの歴史理解など、今日の芸術実践と関係のある思想との関連についても考察していくこととする。
日時:2015年2月11日(水・祝)14:00~16:00 ※開場は13:30
場所:東京都現代美術館 研修室1(東京都江東区三好4-1-1 地下2階[地図])
定員:30人(予約制) 参加費:無料
※東京都現代美術館のイベントではありません
定員を超えましたので、予約受付は終了しました。ありがとうございます。
杉田敦|Atsushi Sugita
1957年生まれ。美術批評、女子美術大学芸術表象専攻教授。近著に『静穏の書 白い街、リスボンへ』(彩流社)、芸術関連の主な著書に『ナノ・ソート』(彩流社)、『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房)、『アートで生きる』(美術出版社)、『inter-views』(美学出版)など、紀行として『白い街へ』『アソーレス、孤独の群島』(以上、彩流社)などがある。また、オルタナティヴ・スペース art & river bank を運営するとともに、『critics coast』(越後妻有アートトリエンナーレ)、『Picnic』(増本泰斗との恊働プロジェクト)など、アート・プロジェクトも数多く手がける。