TALK: 0315

Crime Against Art

<ゲスト>
岡部あおみ(武蔵野美術大学芸術文化学科教授)
長谷川仁美(ミアカビデオアーカイブ)

■ユナイテッドネイションズプラザの映像作品、《A Crime Against Art》の上映(日本語字幕付き)と、内容について、また作品から離れて、もしアートへの犯罪、というものがあるのならそれは何かを考える討議となります。
■アートに対する犯罪とは何か。それはそもそもアートに本質がある、というエッセンシャリストの意見から始めるべきかもしれません。また、アートをどう捉えるか、関わるか、アーティスト、ギャラリスト、コレクター、オーディエンス、キュレーター、それぞれの立場からその犯罪は異なるものかもしれません。
■芸術のあり方や公との関わり、アーティストのサポートや美術館の役割をどうすべきかなど方向性についての議論は一般的ですが、消去法、つまり悪影響のあるものを逆に考え、その障害を無くすにはどうしたら良いのか考えるのも、一つの方法として、作品の内容にとらわれず自由に考えてみたいと思います。ご来場のみなさんにもどしどし発言していただけたら幸いです。

主なトピックス
グローバリゼーション/アートと市場/文化政策、創造都市政策/現代美術の自家中毒/パブリックとオーディエンス/国際展/西洋、東洋/運転席は誰か?

《A Crime Against Art》
2007年にARCO Art Fair(スペイン)で開催されたユナイテッドネイションズプラザの偽裁判、いわゆるマドリッド裁判の記録をもとにした映像作品です。1930年代のアンドレ・ブルトンらが行った偽裁判の手法を踏襲し、「新しいブルジョアジー」との癒着、アートの道具化、批評的なアートの媒介の可能性、その他の現代アートの世界におけるトピックのいくつかを劇場的効果をねらいつつ取り扱っています。被告人および脚本はユナイテッドネイションズプラザの Anton VidokleとTirdad Zolgdhar、検察はVasif KortunとChus Martinez 、弁護士はCharles Esche、判事はJan Verwoert 、参考人はMaria LindとAnselm Frankeです。パートごとに現れる印象的なテキストはLiam Gillick.、制作はマニフェスタ7のキュレーターも勤めたHila Pelegが行いました。

ユナイテッドネイションズプラザ(unitednationsplaza)
2006年、マニフェスタ6の中止という挫折を経て、アーティストでそのマニフェスタのキュレーターでもあったアントン・ヴィドクルを中心として始まりました。場所はベルリンのスーパーマーケットの裏の建物で、1年間の期間限定で“学校としての展覧会”をテーマに、ハンス・ウルリヒ・オブリストやリクリット・ティラバーニャなどすでに100名以上のアーティストや作家、美術評論家、思想家などとコラボレーションを行っています。活動としては、パーティ,オークション、レクチャー、ディスカッション、レジデンス、展覧会などで、現在もリニューアルされた同じ場所で、「Building」プロジェクトを行っています。コアメンバーとしては、リアム・ギリック、ボリス・グロイス、マーサ・ロスラー、アンセルム・フランケ、ヤン・バーボウト、ティルダッド・ゾルガダほかがいます。
http://unitednationsplaza.org

日時:2009年3月15日(日)19:00〜21:00
会場:Otto Mainzheim Gallery(アクセス
定員:30人(予約制) 参加費:1,000円(1ドリンク付)

【 プロフィール 】
岡部あおみ|Aomi Okabe
東京都生まれ。武蔵野美術大学芸術文化学科教授。近現代美術史・ミュゼオロジー専攻。国際基督教大学卒業。ソルボンヌ大学修士課程修了。ルーヴル学院第三課程論文修了。国際美術評論家連盟、日本美術史学会会員。資生堂ギャラリー・アドヴァイザー、東京国立近代美術館評議員。メルシャン軽井沢美術館チーフキュレーター、パリ国立高等美術学校客員教授、ポンピドゥー・センター「前衛芸術の日本」展コミッショナー、「国際美術映像ビエンナーレ」審査員を経て現職。カルチャーパワー運営。キュレーターとして、芸術と社会について実践的な講義を行う。2006-07年、ニューヨーク大学客員研究員。近著に『アートと女性と映像 グローカル・ウーマン』(彩樹社)『アートが知りたい 本音のミュゼオロジー』(武蔵野美術大学出版局)他。
長谷川仁美|Hitomi Hasegawa
ミアカビデオアーカイブ主宰。スウェーデン国立美術デザイン大学(コンストファック)キュレーターラボ修了、慶応大学大学院美学美術史学専攻アートマネージメント分野修士。美術映像のアーカイブを2006年に設立、運営。また展覧会企画や、美術に関わるシンポジウムの企画などに携わる。企画した主な展覧会:ノーオーディナリー(ストックホルム彫刻美術館)、What's the difference Between..? (クンストビューロ、ウィーン)、呼吸する部屋ーパトリシアピッチニーニ個展(東京都写真美術館)など。
http://www.miaca.org/