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緊急事態に対するレスポンスを考える|「COBRA RES」についての意見交換イベント
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<プレゼンター>
Theo Price(「COBRA RES」キュレーター、アーティスト) ※Skypeでの参加
<キースピーカー>
川田淳(アーティスト)
河村賢(社会学/テロリズム研究)
清原悠(社会学/社会運動論)
菅谷奈緒(アーティスト)
藤井光(アーティスト)
<モデレーター>
小西智恵(アーティスト)
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「COBRA RES」とは
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COBRA (Cabinet Office Briefing Room A) は、国内及び国外の緊急事態発生時に英国政府臨時集会が催される部屋を指します。主に首相が主席となり、事態の内容によって様々な専門家等を内閣府に招集し対策を見出します。
「COBRA RES」は、この集会開催日から短い期日内で様々なアーティストのレスポンスを展覧会や出版物として提示し、緊急事態をマッピングするプロジェクトです。臨時集会にアートで反応することを目的とし、つまりはCOBRAによってキュレーションされるプロジェクトです。2013年1月にアルジェリアのイナメナス付近の天然ガスプラントで起きた人質事件を機にアーティストのTheo Priceによってロンドンで立ち上げられました。現在までに、2013年のアルジェリア人質事件、ロンドン兵士殺害テロ、2014年の英国内での洪水、ウクライナでのマレーシア航空墜落、西アフリカでのエボラ出血熱拡大、イスラム国拡大に際して召集された臨時集会に対して、展覧会や出版を行いました。
http://cobra-res.info/
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意見交換イベント
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パリでのCharlie Hebdo襲撃事件を受けて、1月8日にCOBRAで臨時集会が行われました。「COBRA RES」は、それに対するレスポンスとしてグループ展を3月12日-19日にロンドンで開催します。この展覧会と並行して、ISILの日本人人質殺害事件を受けて、東京との意見交換イベントを開催いたします。
緊急事態の物語が画像や言語によって構築されることで、共同体は政治的に強固にまとめ上げられ、人びとは他の物語を考える余地を失う。このような統治を可能にする緊急事態の物語に直面した時、アーティストはどのように自分たちの立場や感情と向き合い、制作するのか(または制作しないのか)。
今回のディスカッションでは、緊急アクションを要する状況に対して直接的なレスポンスを行うアーティスト、それとは対立軸に配置される日常生活の中に存在する危機や暴力性を扱うアーティスト、そして緊急事態のような事象を歴史的文書やインタビュー調査等によってトレースし、それを構成する概念の配置と連続性を分析する社会学研究者とともに、予測不可能とされる緊急事態に対する多様な見解を提示したいと思います。
このディスカッションを通して、各参加者の異なる研究・制作の手法を頼りに、いかに過去・現在・未来という時間の一貫性や、非常時/日常時という対立軸をシフトできるかを模索します。それは、緊急事態に対する解決策を見出すことではなく、緊急事態という概念そのものを再想像することにつながるのではないかと思います。
日時:2015年3月23日(月)19:30~21:30 ※開場は19:00
場所:スタジオ・アウフヘーベン(東京都台東区東上野6-24-8 二美ビル1F)
定員:20人 参加費:1,000円(予約)/1,200円(当日)
企画:小西智恵
【 アクセス 】
JR「上野」駅から徒歩12分、東京メトロ銀座線「稲荷町」駅から徒歩6分
https://goo.gl/maps/VbSYY
【 プロフィール 】
Theo Price|セオ・プライス
「COBRA RES」キュレーター、アーティスト、ライター。近年の出版物として、The Right to Be forgotten (2012), COBRA 1.1 (2013) and COBRA 1.3 (2014)。現在は、エマージェンシー・ポリティクス(緊急政治)と美学についての一連の会話を記録した本と映像を作成中(A:N助成)。ロンドン大学ゴールドスミス校とべイルート・アメリカン大学の客員講師。
an artist, writer and curator of COBRA RES. His recent books include The Right to Be forgotten (Longhouse 2012), COBRA 1.1 (ed. 2013) and COBRA 1.3 (ed. 2014). He is currently working on a new film and book documenting a series of conversations on aesthetics and emergency politics (funded by A:N).Price is visiting lecturer at Goldsmiths University of London and The American University of Beirut, Lebanon.
http://www.theoprice.com/
川田淳|Jun Kawata
1983年埼玉生まれ。主な個展に「ケンナイ」(広島芸術センター, 広島, 2013年)、「まなざしの忘却」(22:00画廊, 東京, 2012年)。グループ展に「When the Wind Blows / 風が吹くとき」(Millennium Court Arts Centre, 北アイルランド, 2015年)、「アラフドアートアニュアル2014」(旧いますや旅館, 土湯, 2014年)、「Screen」(HIGURE, 東京, 2014年)、「書を捨てよ、町へ出よう」(黄金町芸術センター高架下スタジオA, 神奈川, 2013年)、「ヒロシマ・オー ヒロシマフクシマ」(旧日本銀行広島支店, 広島, 2012年)、「中之条ビエンナーレ2011」(旧五反田学校, 群馬, 2011年)など。
河村賢|ken Kawamura
1985年生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は科学社会学。20世紀アメリカのテロリズム研究が政府の対テロ政策に果たした役割について研究している。
清原悠|Yu Kiyohara
東京大学大学院博士課程・日本学術振興会特別研究員(DC2)。専門は社会学。社会運動論を軸に、日本社会における政治と社会が複雑に絡み合う現象をジェンダー、メディア、科学といった視点を交えて研究している。
菅谷奈緒|Nao Sugaya
1981年千葉県生まれ2007年女子美術大学大学院美術研究科立体芸術専攻修了。身の回りのありふれた事例を収集、調査、分析し、社会構造に関する考察として様々なメディアによって表現する。最近の興味は心霊スポットにまつわる噂や都市伝説。架空の藁人形劇団A.Y.K.K.project主催。近年の主な展覧会/プロジェクトとして、「青森EARTH 2014」青森県立美術館、「アラフドアートアニュアル2014」福島県土湯温泉町を中心とした福島市西部の各所(菅谷奈緒+小西智恵+A.Y.K.K.projectとして参加)、「egØ-「主体」を問い直す-」punto(京都)など。
http://naosugaya.com/
藤井光|Hikaru Fujii
1976年東京都生まれ。美術家/映画監督。パリ第8大学美学・芸術第三博士課程DEA卒。2005年帰国以降、現代日本の社会政治状況を映像メディアを用いて直截的に扱う表現活動を行う。3.11以降の被災地で災害と芸術の関わりをテーマに各地で撮影を続けてる。
Hikaru Fujii is a filmmaker and visual artist born in Tokyo, Japan in 1976. He holds a Diploma of Advanced Studies for doctoral coursework at University of Paris 8. Since his return to Japan in 2005, he has explored the country’s modern socio-political climate through frank video art. Since the 3/11 disaster, he continues to film all over Japan, focusing his work on the connection between the disaster and the arts.
http://hikarufujii.com/
小西智恵|Chie Konishi
ウォーキングベースのプロジェクト「DARK MATTER」を行っている。私たちが共通に持つ志望、又は敵対性がどのように新しいアイデアを発生・形成させ、そして最終的にそれをどのようにオーディエンスに向けて コミュニケーションを図るかを考える。こうした共同作業の中で浮かび上がるものを、個人の制作に取り込むという活動も行い、集団と個人の間から見えてくるものを追求している。
https://dahkmatah.wordpress.com/
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「スタジオ・アウフヘーベン」について
アーティストの川久保ジョイ、小林敏大、森岡美樹によって運営されているスペース。
制作スタジオとしての活用以外にイベントや情報発信の場としても活用されている。
http://aufhebentokyo.wordpress.com/