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現代の「造型」をかんがえる—「変成態」を語りながら
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<スピーカー>
天野一夫(豊田市美術館チーフキュレーター)
<モデレーター>
冨井大裕(美術家)
■われわれの時代の「彫刻」はずいぶんこれまでとは異なるものになっている。むしろ「彫刻」を拡げ、「のようなもの」をこそ重視したい。今回は昨年来ギャラリーαMで企画展示した「変成態」を語りながら、現代における「造型」の在り方の一端を考えたいとおもいます。
日時:2010年8月27日(金)19:00〜21:00 ※受付開始は18:30
会場:3331 Arts Chiyoda 1階ラウンジ(アクセス)
定員:30人(予約制) 参加費:1,000円
【 プロフィール 】
天野一夫|Kazuo Amano
学習院大学大学院博士前期課程修了。87~00年O美術館学芸員として活動。同館での主な企画展として、「書と絵画との熱き時代」展('92)「ART IN JAPANESQUE」('93)「メタモルフォーゼ・タイガー」展('99)等、また近年の企画に「プログラム・シード」展(京都芸術センター '02)『「森」としての絵画―「絵」のなかで考える』展(岡崎市美術博物館 '07)「六本木クロッシング2007」(森美術館)、「近代の東アジアイメージ – 日本近代美術はどうアジアを描いてきたか」展(豊田市美術館、2009年)等がある。著書に『日本画の誕生』(共著)、『「日本画」-内と外のあいだで』(同)、『美術史の余白に――工芸・アルス・現代美術』(同)等。また、公募展「多摩秀作美術展」(青梅市立美術館 '94~'01)、「アート公募」('98~'02)等では審査員を「VOCA展」(上野の森美術館 '05)では選考委員を務める。その後、京都造形芸術大学助教授('00~'04)、教授('04~'08)を経て、現在、豊田市美術館チーフキュレーターとして勤務。近代以前からテクノロジーアートまで、横断的に美術を問い返すスタンスを続ける。
冨井大裕|Motohiro Tomii
1973年新潟県生まれ。東京都在住。1999年武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了。日用品の使用と原理的な彫刻の両立を試みる希有な作家として知られる。これまでに個展・グループ展多数。2009年、galleryαMにて「変成態—リアルな現代の物質性」に参加。2008年3月より、茨城県のアーカス・スタジオにて、個展「企画展=収蔵展」を作品が朽ちるその日まで開催中。
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「変成態−リアルな現代の物質性」METAMORPHOSIS - Objects today
■ここでは現代の造形の根幹となっている、物質観の変容について考えようとするものである。高度に情報化し、非物質的な映像環境に取り巻かれる中、作家の物との対し方も大きく変化してきているのは明らかであろう。そして、かつての物質的な想像力、物とイメージとの摩擦とも異なる、近年の新たな造形に焦点を据えようとするものである。
■かつて日本の造形は物への依存、あるいは物の論理に沿った自然への一体感から作られ、汎神論的な心性もあって、近代においても日本特有のオブジェ的な志向を力とすることともなった。しかし現代においては、かつてのオブジェ的な面影を引きずっていた造形から、一挙に張りぼての造形に転位しているようにも思われる。それは素材から来る、物の生成の論理というものから、あえてずらしていこうとする態度でもあろう。しかしそれでも視覚的な触覚性はいまだに保たれていて、また彼らは物そのものを充分扱ってもいる。ただその時に作家はフェティッシュな自愛に向かうことなく、物に対してある距離感を保っている。日常品も世界に対する時の一つのフィルターであろう。物との近くて遠い感覚の中でこれまでとは異なる変成態が生成されようとしているのだ。それはかつての「類彫刻」ならぬ、新たな「のようなもの」でもあろう。現実の物質を徹底して扱いながらも、深度の方向ではなく、横滑りに他の回路を穿ち接合していこうとするような様。物はそこに確かに在りながらもことごとく急速に変転し逃れ去って行く。それは中心性を持たずに連結し、他の領域に開き、固定した意味から逃れようとする、ドゥルーズらの「現代思想」の姿を想起させるだろう。むしろ様々の物ものが不断に変転していく、そのような横ざまに動く局所。それは物の実体の無いままに被膜のみで成り立っている薄さで、そこでは反転することすらたやすいだろう。それは流出的で常に変成していく、一つの可能態なのである。
■以上のような造形の特質を持つ、10作家の新作を主とした展観を予定している。
天野一夫
Vol.1「中原浩大」http://www.tokyoartbeat.com/event/2009/8EF2
Vol.2「冨井大裕×中西信洋」http://www.tokyoartbeat.com/event/2009/1C52
Vol.3「泉孝昭×上村卓大」http://www.tokyoartbeat.com/event/2009/4FD5
Vol.4「東恩納裕一」http://www.tokyoartbeat.com/event/2009/BDDD
Vol.5「袴田京太朗」http://www.tokyoartbeat.com/event/2009/A293
Vol.6「金氏徹平」http://www.tokyoartbeat.com/event/2009/BEC1
Vol.7「鬼頭健吾」http://www.tokyoartbeat.com/event/2009/5816
Vol.8「半田真規」http://www.tokyoartbeat.com/event/2010/BA61
/ Events /
【 24/11/11 】Reading Group "ART SINCE 1900": 1928b|モダニズムのタイポグラフィ
【 24/10/28 】『流れの中で』読書会 #14<第12章|インターネット上のアート>
【 24/10/14 】Reading Group "ART SINCE 1900": 1929|「映画と写真」
【 24/09/30 】『流れの中で』読書会 #13<第11章|ウィキリークス ─ 知識人の抵抗、もしくは陰謀としての普遍性>
【 24/09/16 】Reading Group "ART SINCE 1900": 1930a|ドイツの女性写真家たち
【 24/09/02 】『流れの中で』読書会 #12<第10章|グーグル――文法を超えた単語>
【 24/08/19 】Reading Group "ART SINCE 1900": 1930b|バタイユの造反するシュルレアリスム
【 24/08/05 】『流れの中で』読書会 #11<第9章|近代(モダニテイ)と同時代性――機械複製とデジタル複製>
【 24/07/22 】Reading Group "ART SINCE 1900": 1931a|シュルレアリスムのオブジェ
【 24/07/08 】『流れの中で』読書会 #10<第8章|グローバル・コンセプチュアリズム再訪>
【 24/06/24 】Reading Group "ART SINCE 1900": 1931b|ヨーロッパ絵画と彫刻と「不定形」
【 24/06/10 】『流れの中で』読書会 #9<第7章|リアリズムについて>
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